爽やかな朝から始まったレモンツリーホテルプロジェクト。
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事はトントン拍子に進み、初夏の日差しの中、最初の大仕事、屋根降ろしを迎えることとなりました。
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男木島は、急な坂と石段から成る集落です。機械や車が入る場所は限られてます。
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そのような理由で、昔から大きな仕事はみんなで助け合い手作業でこなしてきた「構力」と言う文化があります。
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機械化、ハイテク化が進んだ今日でも、やはりみんなで手作業。(このどうしようもない理不尽なまでもの不便さが男木島を男木島たらしめる所以なのですが、、、)
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移住者の僕たちでさえ、ちゃっかりとその文化を受け継がざるを得ない男木の厳しい立地条件は相変わらずというところです。
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そんなこんなで、島民や島外から集まってくれた、19名もの方の、体力と気力の最後の一滴まで搾り取って、丸2日掛かりで屋根瓦をスッキリ降ろすことができました。(もちろん、瓦は屋根の下地を補強したあと再利用となります。その際はどうぞまたよろしくお願いします!)
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屋根降ろしが終わり、まるで祭りの後の静けさの中、建築家の安部さんとともに現場の構造のチェックを進めてゆきました。
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現存の家は、石垣の上に、もともとの石の土台、その上に新しい(と言っても100年ほど前だけれど。)石の土台を重ね、家を乗せています。
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男木島の家は、石垣の上に基礎石を並べてその上に置くように家が建てられています。
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基礎に連結されていない柱は結構フレキシブルで、屋根瓦と屋根に載せた土の重量で家自体を抑えているようなイメージです。
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今回、一番の問題は、一番下の基礎石が劣化して崩れていたので、家がとても不安定な土台の上に浮かんでいるようになっていたことでした。
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基礎石の交換は不可能なので、内部から鉄筋コンクリートで補強し家の構造を強化する策をとりました。
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必要最低限のコンクリート量を見積もって、材料が10トン。
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車が入れない立地なので、10トンの材料を25キロの袋に分けて手運びで400袋。
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そして運び入れた10トン分の材料に水を混ぜて手で練ってゆくことになります。
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ここまで行くと、東京ドーム何個分的な感じで、あまり想像ができなくなってしまいますが、気が遠くなる作業ということにしてまとめておきましょう。
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そして追い打ちをかけるように、土間から水が湧き出す噴水アトラクション。
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どちらも男木島ではよくある想定内の想定外なのですが、ひとつひとつのトラブルで工期が数ヶ月、自分の手数が数百倍単位で増えてゆくのをひしひしと感じながら、走ってきた疲れがずっしりと押し寄せます。
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毎度のことながら、「やめておけばよかった」と言う思いと「やらなかったら後悔してたよ」という悪魔の囁きがあっちからもこっちからもとめどなく湧き上がってきます。
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「おお神よ!!私はなぜそこまでして古民家を直すのだろうか??」
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しかしながら、とき既に遅く、プロジェクトは走り出し、きれいさっぱりと屋根は取り払われているのでした。
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