形ある幸せを売る仕事

瀬戸内に来て9回目の梅雨を迎えました。
ひとつの場所にこんなにも長く暮らすことは初めてです。
梅雨時期は、暑くも寒くもなく、短パン&Tシャツで、霧に煙る瀬戸内の島々を眺めながら、雨音を聞くことができる、個人的にとても好きな季節です。

Lemon tree hotelを始めだして3か月。
おかげさまで、様々な地域から多くの方々にお越しいただき、忙しくも充実した日々を送らせてもらっています。
当初、未完成のホテルと言うテーマが本当に受け入れられるか?と言う部分にかなりのドキドキがありました。
この数か月走り続けて、ようやくその手ごたえの様なものを感じることができ始めています。
僕は不完全なもの、未完成なものに宿るある種の美しさをとても愛おしく思っています。
それは、研ぎ澄まされたもの、洗練しつくされたものとは違う美しさを持っていると思っています。
建築だけでなく、ありとあらゆるモノや、サービスに至るまで、効率化しつくされてゆく世の中で、リアルでフィジカルを要するコミュニケーション、人を介して提供されるホスピタリティーの価値は高まってくるのではないかと考えています。
そこには凸凹を楽しむ粋みたいなものもあり、投げた球がまっすぐ跳ね返ってこない、むしろ球でさえなく返ってくるというようなミラクルに富んだ体験に満ち溢れていると感じています。。
新しい挑戦の日々の中で、私たちが本当に売ってゆくもの、届けたい相手。その後ろ姿が、ようやく見え隠れするようになった気もしています。
ここで暮らし始めた頃、僕たちは、幸せの形のひとつのサンプルを作ろうとしました。
そしてある時、それをみんなでシェアしてゆきたいと思いました。
そんな幸せを形のある、手触り感のあるものにして皆さんに届けれたらどんなに素敵だろうと考えてきました。
島が過疎化し、退廃してゆくスピードの速さと、その抗えない図太さのようなものを前にして、まさにそれ自体が、僕たちの思考を刺激して止まない最高のスパイスのような役割を果たしてくれています。
今後は、多くの方が心の底で本当に求める幸せを形にして売ること。また、それを遠く離れた国々の方の心を鷲摑みにできるサービス設計に落とし込めるよう、挑戦してゆきたいと思います。
まだまだチャレンジは始まったばかり。
機会があれば、ぜひ、男木島まで足をお運びください。
ケンタロウ・クミ

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